風速測定の決定版
VTQ
本章では、E+E社の誇る次世代型VTQ新センサーの説明、並びに風速とは、風速計の種類、風速計の設置上の注意に関する説明をします。
粉塵があっても測定を長期化、
誤差を最小限に抑える画期的センサーの登場!
1 VTQセンサー・・・次世代の測定を体感!
風速測定でよく問題になるのは測定中にセンサー部に付着する塵や埃によって測定値の誤差が大きくなり、いずれ故障してしまう現象です。
しかし、VTQは、センサー周辺の風の流れを研究し、塵がセンサーに直接触れないようにすることで塵の付着を大きく削減することができました。これにより、継続的に安定した測定が可能になりました。
右のグラフは、VTQセンサーと旧センサーにわざと塵を付けた状態で精度比較を行った試験結果です。VTQセンサーが精度を維持するのに対し、旧センサーは埃により誤差が大きくなっています。
2 風速とは
お分かりの様に、風の速さのことです。JIS T8202では、空気の流れの単位時間当たりの直線的移動距離の大きさと定義されております。気象観測用だけではなく、換気扇の排気測定、集塵システムなどで使用されております。
3 風速計の種類
JIS T8202には風速計の定義もあります。事務所,工場,地下街などの自然換気及び人工換気における空気流の速さを測定し、風速値を指示するものを風速計と定義されております。一般的に屋内で使用される風速計の種類は3種類ありますので紹介します。
1)熱式風速計
センサー部の抵抗体を周囲環境より高く熱しておき、風を受けることによってセンサーから奪われる熱量を抵抗値の変化量として感知し、その変化量を風速に換算しています。
小型で、応答が早く、微風速領域での精度がよいのが特徴で、風速計の中で最もメジャーです。空調ダクトやクリーンルームなどの微風速も利用でき用途が広いです。VTQセンサーはこの方式であり、一般的に販売しているマスフローメーターも同じ原理です。
当社では、この原理の風速計の以下のラインナップをそろえております。
- VTQセンサータイプ
- 1) ダクト挿入型、リモートプローブ型EE650/EE660
2) 汎用小型プローブ型EE671 - VTQセンサー無し
- 1) 工業用型EE75
2) ハンディタイプTEKHNEPort
3) 圧縮エアー用マスフローメーターEE771/EE772
2)ピトー管式風速計
全圧と静圧の差を測り、動圧を求め、そこから風速を求める原理です。一般的に高風速域で精度がよく、微風速域では精度が悪いです。飛行機や風洞に使用されております。
3)ベーン(風車)式風速計
羽で風を受けることによってその羽の回転数を風速に変換して測定できます。温度・湿度の変化にほとんど影響を受けずに測定が行えます。羽根で風を受けるため、指向性がなく、一方向のみの風にしか反応できません。また、応答が遅いので、風速の方向が決まっておらず急変するような箇所の測定には適しません。空調ダクト用に使われております。
4 風速計の設置上の注意
風速計を正しく配置しないと、正しい速度を測れない場合がありますので、注意してください。
1) 配管の中央に
正しく風速を把握するためには配管内の複数点の風速の平均値を算出する方法が推奨されています。
一方、現実的にはコスト面の問題から、1箇所につき1点だけを測定する場合も多いです。この場合、プローブ先端が配管の中心に位置するよう、調整して設置してください。これは中心の風速が管からの乱流を最も受けにくく安定している為です。中心への設置が困難な場合は配管の直径から30~50%の位置までに設置してください。
2) 外乱要因がある場合
配管の太さが途中で変わったり、カーブがある場合は中の風の流れが乱れている可能性が高いので、そのような場所での計測は避けて下さい。これらの近くで測定しなければならない場合、手前から直径の6倍、後は直径の3倍相当の距離を取って設置してください。右図に参考例を示します。Dが直径です。
推奨される設置方法
風向きに対して垂直にかつ、中心部に設置してください。
気流を乱すもの(ファンなど)からは整流格子を設け、配管直径の6倍の直管距離を取ってください。
吹き出し口付近や管径が大きくなる箇所では 配管直径3倍以上を確保できる手前に設置してください。
分岐や配管のカーブがある箇所には設置せず、下図のように直管距離を確保できる箇所に設置してください。
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