鉄道

客車内換気用途のCO2計、温湿度、露点計

鉄道をイメージする画像

コロナウイルス(Covid 19)の蔓延により、密閉空間内での換気への意識が大きく変わりました。換気によりウイルス感染のリスクが減ることは、もはや誰もが理解することになりました。

これにより建物などの使用者が自らCO2計を設置し室内のCO2濃度を測定する動きが進みました。1970年に公布されたビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)に基づいて定められた基準では、室内のCO2濃度は 1,000ppm以下とされており、 元々ビルなどは空調管理を行いCO2濃度が 1,000ppm以下を保つように管理されていますが、ウイルス感染リスク低減の観点からも空調管理会社・ビルオーナーも室内の空調管理はより厳格に行う必要性を理解し、更に空調管理を徹底してきております。

この傾向は鉄道の客車においても例外ではありません。客室内での換気の重要性が着目されています。 当社では、高精度且つ長期的に校正が不要で安定したパフォーマンスを実現するCO2計により、これらの要望にお応えしております。また、従来より行われている客室内での温度・湿度の測定を簡易型温湿度計(EE060/EE061温湿度計等)で行っております。

他にも、列車搭載用露点計により露点温度を計測したり、レールの安全性を担保するための気象測定用温湿度計など、様々な面で鉄道業界に貢献しております。

一方、昨今の鉄道業界では、エネルギー価格の上昇により利益が圧迫される状況にあり、消費コストの削減を余儀なくされています。しかし、レールや古い鉄道のメンテナンスは常に必要であることから修理費用が膨らみ、更に新車両の投入などのコスト負担も必要になります。そのような状況の中で当社の計測器を導入することで、生涯コストの削減を実現していただいております。

今回は、鉄道に使われている設備・機械等においてテクネ計測の機器がどのようにお役に立てるかご紹介いたします。まずは、鉄道のこれまでからお話します。

鉄道のこれまで

18世紀にイギリスで起こった産業革命とその変化や発展は、各地に生まれた工場に原料を運び、その工場で作られた製品を市場に運ぶための交通機関の発達を必要としました。 1825年にイギリスのスティーヴンソンが発明した蒸気機関車によって、石炭輸送目的の鉄道が初めてストックトン-ダーリントン間を走り、その後1830年に乗客を運ぶ最初の鉄道営業がマンチェスター・リヴァプール鉄道で開始されました。 その鉄道営業の成功により鉄道敷設は急速に延び、1840年代のイギリスに「鉄道狂時代」が到来します。 その影響は大きく、瞬く間に世界へ鉄道が広がり、アメリカでは1827年、ドイツとベルギーでは1835年、ロシアでは1837年、フランスでは1840年に建設が始まっていくことになります。

日本では1853年に当時のロシア帝国やアメリカから初めて鉄道技術が持ち込まれました。その後明治維新を経て、1872(明治5)年10月14日、日本で最初の鉄道が新橋―横浜間にて開通しました。 海外の主要の国に比べて日本の鉄道誕生は遅かったものの、電気を用いた鉄道は、欧米とほぼ同時期に導入されました。その後、鉄道技術の革新により全国に拡大し長距離での移動時間が大幅に短縮されました。

鉄道への用途

空気圧機器

鉄道内では、様々な空気圧を使用した機器が多数使用されています。 例:エアブレーキ制御システム、パンタグラフ制御システム、入口・中間ドア制御、トイレドア・水洗装置、砂貯蔵システム、エアサスペンション、消火装置等 しかし、ブレーキシステムをはじめ、重要な空気圧システムの故障や冬場の結露や氷結によるドアオープナーなどの重要な空気圧システムの故障、またはシリンダー、バルブ等の空圧部品に水分が長期間存在することによる腐食が起こる場合があります。 そこで、あらゆる環境条件下でも可能な圧縮空気システム用の露点と流量モニタリングを行う必要があります。
露点計はTK-100/TE-660/ EE354、流量計ではEE741が使用されます。

●圧縮空気(コンプレッサーエアー)
空気圧機器の1つに圧縮空気があります。圧縮空気とは、空気を加圧させ体積を縮小させたものです。この圧縮された圧力を大気中に放出させた時の力を利用して、鉄道のドア、ブレーキ、各種空圧機器に使用されております。
JIS8392では、圧縮空気システム上のあらゆる場所における粒子、水分及びオイルに関する圧縮空気の清浄等級について規定されています。圧縮空気中の3つの主要な汚染物質は、固体粒子、水及びオイルです。これらは圧縮空気の清浄等級によって分類されます。
これらの圧縮空気の清浄等級は、上記の汚染物質の各濃度を範囲で区分し、その区分ごとに付けた指標を清浄等級とされています。 湿度及び水分の圧縮空気の清浄の等級も決められている為、圧縮空気内の露点測定が非常に重要です。 圧縮空気の露点測定には露点計TK-100/TE-660/ EE354が使用されます。

<湿度及び水分の圧縮空気の清浄等級>
等級 圧力露点【℃】
0 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が指定する。
1 ≦−70
2 ≦−40
3 ≦−20
4 ≦+3
5 ≦+7
6 ≦+10
等級 水分濃度【Cw(g/m3)】
7 Cw≦0.5
8 0.5<Cw≦5
9 5<Cw≦10
X Cw>10

●水分除去機器(ドライヤー)の種類
圧縮空気は結露しないように水分を除去する必要がありますが、その除湿する方法は大きく分けて吸着式・膜式・冷凍式の3種類があります。

・吸着式
圧縮空気中の水分を吸湿材(吸着材)で吸着し、除湿を行うドライヤーです。
圧力下露点で約-20℃やそれ以下の圧縮空気を作り出します。

・膜式
圧縮空気中の水分と窒素等のガスを分離させる膜を使用することで、除湿を行うドライヤーです。圧力下露点で約5℃の圧縮空気を作り出します。

・冷却式
圧縮空気の水分を除去し、その圧縮空気と冷媒(フロン等)を熱交換し冷却することで、除湿を行うドライヤーです。圧力下露点で約10℃の圧縮空気を作り出します。

空調

●温度・湿度
鉄道車両内部の温度・湿度管理を行う事はとても重要で、客室内の快適性に直結します。鉄道車両内は混雑率の変化や、ドア開放時の外気侵入等により温湿度が変動する非定常環境であり、季節によっても環境が大きく変わります。
車内が暑い・寒いという意見は常に多くありますが、その声に応えるためにも鉄道車両の冷暖房性能や制御性能の向上は必要で、その制御には温湿度計が大切な役割を担います。
温湿度計にはEE08/EE060/EE061が使用されます。

●CO2濃度
乗客の快適性と健康にはCO2濃度が最も重要で、車内の空気の質で最も重要なパラメータです。
鉄道車両の快適性を向上させるということは、公共交通機関の魅力を高めることにもなります。1970年に公布されたビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)にもとづいて定められた基準と同様に、室内のCO2濃度を 1000ppm 以下の低濃度に抑えることが推奨されております。しかし、ドアや窓を換気のために開けたままにしてしまうと、新鮮な空気を取りすぎてしまうことで温度や湿度が大きく変化してしまい、空調管理の点で大幅にコストがかかってしまうことも有ります。 なので、近年のHVACユニット制御は、乗員数に応じて新鮮な空気の供給を調整するように設計されており外部からの新鮮な空気の供給を調整できます。
鉄道車両向けに設計され複数の鉄道規格に適合しているEE8915が使用されます。

テクネ計測の動画チャンネルで紹介しています

油圧

油圧部品、台車方式、ギアボックス、油絶縁変圧器およびコンプレッサーには潤滑油が使用されています。
潤滑油の天敵とされているのが水分です。水分によって、油が潤滑性を失ったりします。また、それにより腐食が起こりその腐食が研磨材として機能し、部品を傷つけてしまうこともあります。そのため、潤滑油中の水分濃度の管理が重要です。 当社ではオイル中水分計も販売しており、潤滑油中の水分濃度の管理にお役立ちしております。
オイル中水分計はEE360、EE364が使用されます。

レール

鉄道のスイッチは、雪や氷の影響を受けやすい為、可動部は凍らないように加熱されています。しかし、状態に応じて制御されないことが多いのが実情です。
なので、最新の鉄道開閉器は、気象/天候観測ステーションを統合して安全な運行を確保しています。この鉄道開閉器には、氷結の危険性や氷のない軌跡の検出、分岐器加熱、 鉄道スイッチ制御等が搭載されています。 そのため、鉄道沿線の天候を監視することは交通管制や事故防止に欠かせないもので、当社では温湿度測定の機器を販売しております。
温湿度計でEE260、EE33、M1T17がこれに当たります。

まとめ

以上のようにテクネ計測では、様々な種類の温湿度露点計のご用意がございます。 また、過酷な環境下に置くための金属筐体の選択や異物が多い環境の中でケミカルパージ機能により異物を除去できる温湿度露点計もあり、計測機器にとって過酷な温度が高い、湿度が高い環境下でも使用が可能です。 多数の露点・湿度・温度・マスフローメーター・風速計のラインナップがあり、鉄道業界に多数の実績があります。そのため、同業界での様々な重要な場面でお役に立てているのではないかと考えます。

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