再生可能
エネルギー

エネルギー効率改善・安全性管理のため露点計・硫化水素計(H2S計)・PPM酸素濃度計等で貢献します。

地球温暖化の問題が叫ばれ始めてから久しく、最近では、「SDGs」や「持続可能な社会」という言葉を耳にすることが増えました。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年に開催された国連総会で150か国を超えるリーダーが参加し、2030年までに達成すべき17の目標が決定されました。その中でも、「気候変動に具体的な対策」の一つにあたる再生可能エネルギーによる発電の現場でも、当社製品が貢献できることがあります。太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源です(経済産業省資源エネルギー庁HPより抜粋)。
今回は、環境問題の歴史とこれらの再生可能エネルギーの概要と製造過程においてテクネ計測の機器がどのようにお役に立てるかご紹介いたします。

これまでの環境問題

私たちは日常生活においても、経済活動においても必ずと言っていいほどエネルギーを使っています。近年では、石油・石炭などの化石燃料を燃焼することで得たエネルギーを主に活用しています。
しかしながら、このような手法ではCOが大気に放出され、地球の平均気温が上昇し、地球温暖化を助長させると言われています。その影響はすでに私たちも身近に感じており、強い台風・ゲリラ豪雨の発生やそれによる洪水、記録的な猛暑などの異常気象が発生し災害が頻発しています。地球温暖化が進むと気候が変動するといわれており、すでに私たちはその傾向を感じ取っています。今は一部地域の気候変動であってもいずれは地球全体の環境や生き物などの循環システムへも影響を及ぼし、今までに経験したことのないような影響や被害が発生することが予想されます。そのため火急の問題であります。
その一方で、どんなに気候変動や地球温暖化が重大な問題であっても、私たちの経済活動を抑圧することはできず、簡単に二酸化炭素の排出量を減らすことはできません。各国の二酸化炭素排出量をどれくらい減らすかという議論は、1980年代以降盛んにおこなわれています。これまでに気候変動や環境問題をテーマにした国連における多数国間条約は3つあります。

1)気候変動枠組条約
1992年5月に国連総会にて採択され、1994年3月に発効しました。温暖化を防止するため、大気中の温室効果ガス濃度を安定化させることを目的とし、地球温暖化が引き起こす好ましくない影響を防止するための国際的な取り決めです。この条約では、温室効果ガスの排出や吸収の一覧、国家レベルでの温暖化対策の策定を義務としています。先進国は、2000年までに温室効果ガスの排出量を1990年の水準に戻すことを目標に掲げました。しかし、これは努力目標とされていたことから、本気で取り組んだ国はあまりいませんでした。

2)京都議定書
1997年に京都で開催された国連機構変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)された温暖化に対する国際的な条約です。気候変動枠組条約のようなことを繰り返さず、皆が本気で取り組むため、先進国に対し「2008年~2012年の間に、1990年比で約5%削減すること」を明記しました。これに加え、国ごとにEUは8%、アメリカは7%、日本は6%の削減を約束しました。京都議定書ではまずは先進国において取り組むことになり、発展途上国にも、温室効果ガス排出力の多い国はありましたが、削減義務は課せられませんでした。

3)パリ協定
2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みで、1997年に締結された京都議定書の後継です。京都議定書では一部の国(主に先進国)に対して削減義務が課せられましたが、パリ協定を発行するために、55か国以上が参加すること、世界の総排出量のうち55%以をカバーする国が同意することを条件とし、全世界で協力していく方針です。当時アメリカ大統領であったオバマ氏が中国やインドに働きかけた結果2016年11月に発効しました。パリ協定では、長期目標として「世界の平均気温上昇を産業革命前より2℃以上低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること温室効果ガスの排出をピークアウトさせ森林などによって吸収量のバランスをとっていくこと」を掲げました。

日本のエネルギー比率

1960年までは、国産の石炭や水力によるエネルギーが約6割を占めていました。以降、安くて燃やすだけで簡単に発電できる石油火力が主体となり、依存率も60%程度となりました。1970年代に2度にわたり発生したオイルショックの経験から、石油の依存率を下げる方針に転換し、石炭が着目され、1992年から最新鋭の石炭火力発電所が各地で建設されていきます。同時にCO排出が比較的少ないLNG火力も比率を伸ばします。原子力は技術的問題・立地問題の壁はあるものの、徐々にその比率を伸ばしていきました。石油火力は点火/消火が容易なこともあり、ピーク用電源と変わります。
2011年3月11日東日本大震災時に発生した福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、原子力発電が大幅に減り、LNGの比率が大幅に伸びることになりました。
2019年時点では、液化天然ガス(LNG)が最も多く37.1%を占めています。近年では、石炭や石油による発電は減少傾向にある一方で、新エネルギーは増大しています。また、電力調査統計でみても、自然エネルギーの割合が増加しています。

現在の政府の方針(2022.5現在)

2020年10月、政府は2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から、人為的な植林や森林を管理することで達成した二酸化炭素吸収量を差し引いて、実質的にゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けた取組をしています。カーボンニュートラル実現のために、安全・安心で安価なエネルギーを確保することは重要であり、その観点から再生可能エネルギーが注目されています。
2021年4月、日本は温室効果ガスを2030年度46%削減(2013年度比)を目指すことを表明しました。同時に、努力目標を同50%とすることを発表しました。また、CO2排出分に対しクレジットを購入し相殺する「カーボン・オフセット」という取組も始まっています。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、太陽光・地熱・風力などのように自然界に常に存在するエネルギーのことです。特徴は、枯渇しない、どこにでも存在していることです。さらに、石炭や石油、天然ガスのような化石燃料と異なり、COを排出しません。以降、これら再生可能エネルギーと、テクネ計測が出来る貢献を説明します。

太陽光発電

光エネルギー(太陽光)を用い、電気を発生させた発電方法です。
この発電に必要な機器で一番浸透しているのが、ソーラーパネルです。ソーラーパネルは、 太陽電池を集めた機器となっております。
半導体を使用し、太陽光のエネルギーを回収します。n型半導体とp型半導体を組合わせ、n型半導体は負の電荷を、p型半導体は正の電荷をもっています。この2つの半導体の張り合わせ面に光エネルギーが加わると、n型半導体は、正の電荷をもち、p型半導体は、負の電荷をもつことで、起電力が生まれます。起電力は、光が当たっている間は、発生し続けます。
発電量を推定するために測定されるのが太陽光の照度です。
残念ながらテクネ計測では照度計の取り扱いはありません。一方、ソーラーパネル近傍の温度・湿度が次に重要になり、温湿度計で貢献しています。特に、温湿度計を屋外設置するためのラジエーションシールド高品質・低価格で提供させて頂いております。

風力発電

風の力で風車を回し、回転エネルギーを電気エネルギーに変え発電しています。風車の羽根(ブレード)に風が当たるとブレードが回転をします。増速機(ギアボックス)内のギアにより回転速度を速め、回転を電気に変換しています。風車の形には、回転軸の違いで水平軸風車と垂直軸風車があります。水平軸型には、代表的なプロペラ型等があります。垂直軸型には、羽の形状が違うクロスフロー型等があります。風力発電は、羽根の大きさや回るスピードによって発電の量が異なります。なので、風力の設置場所や羽根の角度を調整し、効率的に発電しております。上記のように、ギアボックスの潤滑性が風力発電の発電効率を決定します。
テクネ計測では、オイル中水分計(油中水分計)にて、ギアボックス内の潤滑油の劣化診断を簡単にできることで貢献をしています。

地熱発電

地中深くのマグマから発生した高温・高圧の蒸気を使いて発電しています。地熱発電には大別して二種類の発電方式があります。一つ目は取り出した蒸気で直接発電用のタービンを回す方法でフラッシュ方式といい、もう一つは沸点の低い別の流体を利用するし発電する方法でバイナリ方式といいます。
地下より、200℃以上の高温熱水をくみ上げられる場合は、フラッシュ方式が適しています。地下にある地熱貯留層に鋼管杭で地熱流体を取り出し、セパレータにより熱水と蒸気に分けます。熱水は還元井より地下へ戻し、蒸気がタービンを回すことで発電します。発電後の蒸気は、復水器で温水にし、さらに冷却塔で冷やし、復水器に戻し上記の冷却に利用します。
一方でバイナリ方式は、既設の温泉井戸などを活用することもあり、新たに掘削しない場合があります。取り出した地熱流体で二次媒体を温め、蒸気化し、その蒸気でタービンを回転させて発電します。
日本には温泉が沢山あることからもお分かりの様に、この地熱発電は日本の重要なエネルギー源として、テクネ計測でも注目しています。地中深くから発掘した地下ガスには、二酸化炭素・硫化水素や塩化物、硫酸塩など様々な化学物質が含まれています。不純物の大半は、気水分離器などで除去されますが、完全には除去しきれませんし、ガスの種類によっては全く除去されません。硫化水素など人体に影響のあるガスが混入したままですと大変危険なため、特殊な処理をして除去します。
発電には圧縮空気(コンプレッサーエアー)を使用しますので、露点計で水分濃度を管理することが望ましいです。一方、最終的に大気に排出される気体に硫化水素が含まれていないことが必要ですが、現実的には完全に除去できていないのが実態であり、露点計測は硫化水素による腐食との戦いです。また、わずかに漏れた硫化水素を確認するために、当社の硫化水素計を使い確認します。
当社の硫化水素はppmレベルの微量な濃度でも計測可能です。

水力発電

水のエネルギーを回転する機械エネルギーに水車で変換します。 その後、水車の回転エネルギーを利用し、発電しています。発電方法には、4種類あります。
・水路(流込)式
 河川流量をそのまま利用します。水量によって、発電量が変わります。
・調整池式
 河川を調整池で調整し、放流することで発電します。
・貯水式
 河川をダムで塞き止め、大量の水を貯めておき、放流することで発電します。
・揚水式
 発電所の上部と下部に大きな調整池をつくり、上部に貯まった水を下部に落とし、発電します。電力供給に余裕のある時間帯に下部から上部に水を汲み上げ、発電に備えます。
いずれの場合も、水のエネルギーを機械エネルギーに変換するために、回転軸を円滑に回転させる潤滑油の役割が重要です。潤滑油の劣化診断にテクネ計測のオイル中水分計(油中水分計)が使用されています。

バイオマス発電

動植物などより生じた資源を燃焼する際の熱を利用し、発電します。発電方法には、3種類あります。
・直接燃焼
 木材等をボイラで燃焼し,得られた水蒸気でタービンを回し、発電しています。
この方式にはバイオマスと石炭を同時に燃焼させるバイオマス混焼方式と、バイオマス専用ボイラで燃焼させるバイオマス専焼方式があります。
・ガス化
 木材等を前処理した後、ガス化炉に投入してガス化し、得られたガスを用いて発電しています。
・生物化学的ガス化(バイオガス発電)
 微生物による嫌気性発酵によって有機物を分解し、その過程で発生するバイオガス(メタンガス等)を用いて発電しています。
生成されたバイオガス中には硫化水素が含まれている場合もあります。硫化水素は、人体にも有毒ですし金属腐食も引き起こすので、脱硫処理が必要になります。その脱硫処理がしっかり行われ、硫化水素濃度が0ppmかの確認に使用されております。
当社の硫化水素計は、海外本質安全防爆認定品もあり、0~2000 ppmまで測定ができます。

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