もいすちゅ〜の水分講座
測定系を構築しよう

測定可能ガスに
関して

測定を行う際、どの様なガス中(背景ガス/バックグランドガス)で測定するかが重要です。ガスによっては測定できない場合があります。また、測定は出来ても誤差を生じる場合など、代表的なものを以下にて紹介します。また、腐食性ガス中でも水分測定が可能なiTMAシリーズ(腐食性ガス中連続水分分析計)についても紹介します。

もいすちゅ〜「怖い腐食ガス中でもTMAなら水分が測れるでちゅー!」

1 問題のある背景ガスの代表例

計測器は測定対象ガスと電気的に反応させて測定する原理が多いです。例えば、酸化アルミ式静電容量式露点計では、水分が付着する酸化アルミ層を導電性の電極で挟み、静電容量の変化を見ています。酸化アルミ層に電気を通すわけではないですが、この層に水分が付着することには、水の極性を利用しています。酸化アルミ層の酸素Oと水の極性のδ+による微弱な電荷による水素結合により水分分子が付着するのです。

上記の点から、以下の様な特徴を持つ背景ガス中では、測定可否を十分判断することが重要となります。

1)極性のあるガス

極性を持つ他のガスが存在する場合、水分と同様の挙動をしてしまう場合があります。更には極性が存在するガスはそもそも腐食性を持つケースが多く、センサー部の構造自体を破壊してしまう事があります。アンモニア(NH3)が代表例です。

2) イオン分解をしやすいガス

イオン分解をしやすいガスは、計測値に誤差を生じさせる原因となります。例えば-OH基を持つ背景ガスの場合、H2O(水)はHと-OHであることから、-OH基は水のOHと同じ構造のため、水と同じ挙動を示しがちです。「水と同じように吸着しやすい→測定値がプラスされる」となり、測定値が正値より高めに表示されます。アルコール類が代表例です。

3)腐食性ガス

腐食性がある背景ガス中ではセンサー部を腐食する可能性があるので、濃度が薄くない限り使用不可な場合が多いです。硫化水素(SO2)や第17族ハロゲン(フッ素・塩素・臭素・ヨウ素など)がこれに該当します。特にハロゲンは、多くの元素と化合するため単体(例Cl2)で存在しても、水分と結合し腐食性が強い化合物(例HF)になります。

2 腐食ガス中水分計測にはiTMAシリーズ(腐食性ガス中連続水分分析計)を

当社では腐食性ガス中でも水分測定が可能な、五酸化リン式水分計 iTMAシリーズを取扱っております。五酸化リン式は構造がシンプルで、センサー部は筐体、電極棒、電極、パッキンのみの構造です。iTMAシリーズではこれらの接ガス部を全て耐腐食性物質を使用することにより、腐食性ガス中でも水分測定が可能となりました。

センサー材質はガラスで、その周囲に白金電極(オプションでロジウム)が螺旋状に巻かれています。センサー筐体もSUS316、ハステロイ、Monelから選択でき、Oリングも様々な種類があります。

測定可能なガス:
Cl2、HCl、H2S、SF6、H2SO4、SO2、HBr、CO2、D2、O2、C2H2、炭化水、PH3、フロン等

iTMAシリーズ を使用した用途例
・食塩電解プラント
生成した塩素ガス中の水分を測定するために使用されております。水分量が多いと、塩化水素(HCl)になってしまうためです。
図:食塩電解プラント
・食塩電解プラント
生成した塩素ガス中の水分を測定するために使用されております。水分量が多いと、塩化水素(HCl)になってしまうためです。
図:食塩電解プラント